水石の愉しみ方(二) 時代がつくとは?(養石)
- 水石を愉しむ会
- 2016年11月19日
- 読了時間: 2分

新しい石(川から採取したばかり)ではどんなに形・色・質の三大要素が素晴らしくても名石とはなりません。盆栽と同じように長い年月をかけて丹精しなければなりません。
というのは、古びた趣(時代・持ち込み・古色といいます)が必要です。そのためには、「養石」という作業をおこないます。「養石」とは盆栽と同じように庭の棚に置き、時々灌水(水をかける)をして時代をつけます。それにより、いわゆる「時代がつく」という岩肌に古色が表れる作業です。
つまり、「養石」とは風化作用であり、それを人の手で加速する作業です。「養石」の言葉を考えた小林憲雄氏は『生き物は、養うという詞が用いられても、死物の石を養うというのは、不条理の様に思われるかもしれないが、石も養う様な心境で手当をすると、その寂が出てくるのは、生き物の様です』と言われていました。この時代がつくことで、石に落ち着きと深い味わいが表れ水石の個性を生かすのです。

水石にご興味を持たれた方は、最初はあまり気にならず自分の好きな石を手に入れていただければいいと思います。そして、その石を眺め、手に取って触ることで手の脂で時代がついていきます。古い水石は何人もの人の手を渡り先人たちが触ることで時代(古色)が進んだのです。
石に触ることは自然の時代に触れることです。大自然を感じこころも落ち着きます。そして自分の手で水石が養われていくことで石への愛着もわいてくるのです。
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